無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「ちょっと、真未!
さっき秋村君と何か親しげに話してたけど、何でそんな急接近してるの!?」

「杏子、声大きい。
それに、あんたはここでの講義じゃなかったはずでしょ?」

自分の教室行きなよ。と言うが杏子は聞く耳を持っていないようで隣の席に陣取るとずいっと体を近づけてきた。

「……またパンを貰っただけ。
美味しかったからおすすめだって、ほらこれ」

「これって……また真未のバイト先の?」

「そう。
だから急接近なんてしてないよ」

そう言うと杏子は眉を寄せてさらに体を近づけてくるから思わず腰を反らすと、杏子は徐に口を開いた。

「でも、前回はお礼でくれて今回はおすすめだってだけでしょ?
何もないのにわざわざくれるかな?」

「さあ?私は秋村君じゃないからわからないけど」

「もしかして秋村君、真未に好意があるんじゃ……」

その言葉に軽く数秒固まってから思わず吹き出して笑ってしまうと、呆気にとられたように杏子は目を丸くした。
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