無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「ありがとうございましたー」

朝陽と一緒にそれぞれ予約したCDを買うと真未のテンションはさっきとは違って急上昇した。
予約特典のオリジナルポストカードも無事に手に入って満足だ。

「じゃあ秋村君、また講義でね」

「え、ちょっと待って!?もう帰るの!?」

鞄の中にCDを入れてさっさと帰ろうとすると、朝陽が驚いたように声をかけてきた。

「うん、だって目的は果たしたでしょ?」

「そうだけど……せっかくだし、どっか寄っていかない?」

「えー……」

明らかにめんどくさいと顔に出ていたのだろう、実際早く帰ってCDを聞いたりDVD観賞をしたかった真未の乗り気でない反応に朝陽は苦笑いしていた。

「美人が台無しになるからそんな顔しない。
俺がよく買ってくるパン屋、あそこカフェスペースもあるからそこに行こう」

「いや、あそこはちょっと……」

バイト先に男と二人で来たと絢さんや千夏ちゃんに知られたら絶対からかわれまくって明日からのバイトがやりづらいじゃないかと考えていると、なら、そこ。と朝陽は近くのハンバーガーショップを指差していた。

「あそこなら、まあ……」

いいか。と言う前に朝陽が、じゃあ行こう!と率先して歩き出した。
なんだか強引な様子に首を傾げるも、早く行くよー。と振り向き様に言われ仕方なしに一歩踏み出した。
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