無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「これって……」

「やっぱり秋村君にはわかる？
Kaiserの一人、越名勇人と結婚したモデルの陽菜ちゃんが初めて映像出演して話題になった曲のＰＶ！」

よく知ってる……。そう漏らしそうになるのを押し止めて真未を見ると、真未はすごく嬉しそうにＤＶＤを眺めていた。

「陽菜ちゃんのことも元々大ファンだったんだけど、このＰＶ見て余計に好きになったの。
これがきっかけで二人が知り合って結婚したなんて、すごくドラマティックよね」

キラキラ瞳を輝かせて話すその横顔はとても綺麗で、朝陽は目を細めて真未を見つめた。

「岩沢さんって、本当いい人だよね」

「へ？な、なに、いきなり……」

「なんでもない。
そうだこれあげる、特典のポストカード。
そっちとパターンが違うらしいよ」

「え！？い、いいのっ！？」

「いいのいいの。
その代わり、今度一緒にKaiserのライブ行こうよ」

一緒に行ってくれる人なかなかいなくてさー。と言うと、ライブ！？行きたいっ！！と食いついてきた。
どうやら真未の方も一緒に行ってくれる人がいないようだった。

「じゃあ、連絡先交換。
いつでも連絡とれるようにね」

「うん、わかった」

話の流れからスムーズにデートの約束、さらには連絡先を聞き出すことに成功して内心ほくそ笑んだ。
真未を無理矢理引き止めた朝陽の目的は無事に達成されたのだった。
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