無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
次の日、がむしゃらにパン生地を捏ね成型し、いつもよりテキパキと動いて焼いていると絢さんにどうしたのか訊ねられた。
朝陽のことを考えないように無心になって動いていただけなのだけれど、絢さんに無表情で怖いよ。と言われてしまった。
朝の開店準備を手伝い店頭に黒板スタンドを置くと今日のオススメのパンを書いていく。
目立つようにカラフルに、購買意欲をそそるためにふわっ!とかカリッ!とか擬音をつけていたら、おはようございます。と後ろから声が聞こえて振り返ると、顔見知りとなった黒渕眼鏡の女性が微笑みながら立っていた。
「あ、おはようございます」
「パンを買いに来たんですけど、ちょっと早かったですね」
「あ、でももう開店なのですぐ開けますね」
言いながら立ち上がり、店のドアの内側に掛けられたcloseの札を取って、どうぞ。と振り返ると初めてその女性の少し後ろに立っている男の人に気づいた。
目深に帽子を被ってサングラスをつけていると言う印象に残りやすいその格好は、クロワッサンアイスを食べている女性の傍に立っていたあの人だとすぐに思い出し小さく会釈した。
朝陽のことを考えないように無心になって動いていただけなのだけれど、絢さんに無表情で怖いよ。と言われてしまった。
朝の開店準備を手伝い店頭に黒板スタンドを置くと今日のオススメのパンを書いていく。
目立つようにカラフルに、購買意欲をそそるためにふわっ!とかカリッ!とか擬音をつけていたら、おはようございます。と後ろから声が聞こえて振り返ると、顔見知りとなった黒渕眼鏡の女性が微笑みながら立っていた。
「あ、おはようございます」
「パンを買いに来たんですけど、ちょっと早かったですね」
「あ、でももう開店なのですぐ開けますね」
言いながら立ち上がり、店のドアの内側に掛けられたcloseの札を取って、どうぞ。と振り返ると初めてその女性の少し後ろに立っている男の人に気づいた。
目深に帽子を被ってサングラスをつけていると言う印象に残りやすいその格好は、クロワッサンアイスを食べている女性の傍に立っていたあの人だとすぐに思い出し小さく会釈した。