無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「この前のベーグルサンドすごく美味しかったです。
あの、それで、今日のオススメとかありますか……？」

おずおずと話しかけてくる女性にそれなら、と先程焼き上がったばかりのパンを持ってくる。

「これなんてどうでしょう、エスカルゴと言うパンでチョコやナッツなど色んな種類がありますよ」

「わぁ、美味しそう……」

どう思いますか？と女性が後ろの男性を仰ぎ見ると、好きなものを買ったらいい。と優しい声が聞こえてきた。
この声、どこかで聞いたような……？と思っていると、このパン三つずつください。と言われて思考を中断する。

「はい、すぐに用意しますね」

レジに向かい一つずつ袋に入れていると、二人の会話が聞こえてきた。

「……人見知りの陽菜が自分から誰かに話しかけるのは珍しいな」

「この前親切にベーグルサンドをオススメしてもらったんです。
それで……」

和やかに話している二人の会話に気になるところがあり、普段は必要なければ自分から話しかけることのない真未は無意識に口を開いていた。
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