無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「なに、信者って!小峯さん、岩沢さんのこと信仰してんの?」

「あ、笑ったね?
言っとくけど真未はクールビューティーで見た目は怖くて、言いたいこともハッキリ言うから恐れられてるけど、すっごくいい子で頼りになるんだからね」

「ねえねえ、褒めてなさそうな所の方が多いけど気づいてる?」

杏子の言葉に朝陽は楽しそうに笑っている。
この誰とでも仲良くなって自然に会話できるのは二人の素質なのだろうと思っていたらノートが目の前に差し出された。

「ノート助かった、ありがと!
今度なんかお礼する」

「いや、別にいらな……」

「俺、借りはちゃんと返す方だから」

じゃ、と言って朝陽は自分のノート片手にさっきの友達の方へ向かうとまた周りの人たちに囲まれていた。

「秋村君って話しやすいねー。
人が寄ってくるのも頷けるわ」

「杏子も男女問わず人が寄ってくるじゃない」

「でも、私は真未といる方が好きー」

にこっと笑う杏子は本当に可愛くて、この素直な性格は男子には堪らないだろうなと思った。
ただ、私は素直な言葉を受け止めきれずに毎回そっぽを向いてありがと。と呟くのだけど、杏子はいつもそんな可愛げのない私を見ても優しく微笑んでいるから不思議だった。
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