無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
一つのメニュー表を二人で頭を付き合わせて見ている。
やがて顔を向かい合わせて頷いたのを見て真未は千夏に、厨房に戻るね!と言ってその場から急いで離れた。
「え?真未さ……」
「すみません、注文いいですか?」
「あ、はい!今行きます!」
朝陽に呼ばれて急いで行く千夏の声を聞きながら、真未は厨房で痛む胸を押さえていた。
朝陽が呼んだ陽菜と言う名前。
そうだ、あの時に朝陽が護ろうとしていた彼女の名前も同じ“ひな”だったじゃないか。
あの様子だと二人が親密なのは一目瞭然で、もしかしたら元カレや元カノという間柄なのかもしれない。
それでもあのように仲睦まじいということは、よりを戻したのかも……それなら昨日陽菜と一緒にいたあのサングラスの男の人は……?
考えても答えにたどり着きそうにない問題に溜め息をつき、空いている手でそっと唇に触れる。
今でも鮮明に思い出してしまう昨日の朝陽の唇の感触にギュッと自分の唇を噛み締めていたら千夏が厨房に顔を出した。
「真未さん、クロワッサンアイス二つ、どちらもバニラとチョコ一つずつ挟んでください」
「わかった。
今丁度焼き上がったからそれを用意するね」
「はい。
……って、真未さんっ!!」
「え?……っ!!」
考え事を断ち切るように入った注文に意識を集中させ、焼き上がったクロワッサンを取り出そうとオーブンを開けて、鉄板を両手で握った瞬間に鋭い痛みが走って咄嗟に手を離した。
まだ完全にオーブンから出ていなかった鉄板は落ちることなくクロワッサンも無事だったが、両手がジンジンと痛む。
あろうことか耐熱グローブを嵌めることを忘れて素手で握ってしまい火傷したらしく、真未さんっ!早く冷やしてっ!!と慌てて水道の水を出す千夏の元へ痛みを堪えて歩き出した。
やがて顔を向かい合わせて頷いたのを見て真未は千夏に、厨房に戻るね!と言ってその場から急いで離れた。
「え?真未さ……」
「すみません、注文いいですか?」
「あ、はい!今行きます!」
朝陽に呼ばれて急いで行く千夏の声を聞きながら、真未は厨房で痛む胸を押さえていた。
朝陽が呼んだ陽菜と言う名前。
そうだ、あの時に朝陽が護ろうとしていた彼女の名前も同じ“ひな”だったじゃないか。
あの様子だと二人が親密なのは一目瞭然で、もしかしたら元カレや元カノという間柄なのかもしれない。
それでもあのように仲睦まじいということは、よりを戻したのかも……それなら昨日陽菜と一緒にいたあのサングラスの男の人は……?
考えても答えにたどり着きそうにない問題に溜め息をつき、空いている手でそっと唇に触れる。
今でも鮮明に思い出してしまう昨日の朝陽の唇の感触にギュッと自分の唇を噛み締めていたら千夏が厨房に顔を出した。
「真未さん、クロワッサンアイス二つ、どちらもバニラとチョコ一つずつ挟んでください」
「わかった。
今丁度焼き上がったからそれを用意するね」
「はい。
……って、真未さんっ!!」
「え?……っ!!」
考え事を断ち切るように入った注文に意識を集中させ、焼き上がったクロワッサンを取り出そうとオーブンを開けて、鉄板を両手で握った瞬間に鋭い痛みが走って咄嗟に手を離した。
まだ完全にオーブンから出ていなかった鉄板は落ちることなくクロワッサンも無事だったが、両手がジンジンと痛む。
あろうことか耐熱グローブを嵌めることを忘れて素手で握ってしまい火傷したらしく、真未さんっ!早く冷やしてっ!!と慌てて水道の水を出す千夏の元へ痛みを堪えて歩き出した。