無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
部屋にいい匂いが充満して、陽菜は急にお腹が空いてきたのを感じた。
部屋に上がった朝陽はまず、冷蔵庫の中を確認していいか聞いてきたので了承すると有り合わせのものでご飯を作ってくれると言った。

「お待たせ、その手ならスプーンの方がいいだろうと思ったけど食べれそう?」

カタンとテーブルの上に置かれたのは美味しそうなガパオライス。
半熟の目玉焼きやトマトなどもちゃんと乗っていて、男の人が作ったとは思えないほど見た目も綺麗だった。

「すごい、これ本当に朝陽が作ったの?」

「他に誰がいたのさ。
ほら早く食べて薬飲みなよ、それとも食べさせてあげようか?」

目の前に座って頬杖をつきながらニヤニヤ笑う朝陽に、結構です。と一言で断ってスプーンをなんとか持った。

「いただきます」

「はい、どうぞ」

包帯を巻かれて普段より使いにくくなった手でもなんとか頑張ってライスを掬って息を吹き掛けて冷ましてから口に入れる。
しっかり味がついていて、かと言って濃くなく絶妙な味加減に思わず目を丸くした。

「うわっ、すごく美味しい!
きっといいお嫁さんになれるよ」

「どう頑張ってもなれない気がするけどね」

真未の絶賛を笑いながら返す朝陽は満更ではなさそうで、夢中で平らげていく真未を目を細めて見つめていた。
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