無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「ほら、昨日も今日も受け入れてる。
真未の性格上、嫌だったら咄嗟に殴り飛ばすくらいするだろ?」

「それは…」

そうかも、しれない……。と納得してしまった真未に小さく笑う。

「何回でも教えてあげるから早く自覚しなよ。
真未はその時から俺のことが好きで、そんな俺に大事にされたいと思った」

「そ、そうなのかな……?」

「そうだよ。
とりあえず確信が持てなくてもいいから一度付き合ってみない?そのうちにちゃんと自分の気持ちがわかるときが必ずくるはずだから。
だけど覚悟もしてて、俺なしじゃいられないくらい好きにさせてみせるから……」

「う、うん……?」

返事が疑問系になりつつある真未に微笑んでよしよしと頭を撫でていると、そうか、私は朝陽のことが好きだったのか……。と呟いていた真未はふと何かを思い出したように顔を上げた。

「でも、私が仮に朝陽を好きだったとして、朝陽はどうなのよ」

「俺?俺は好きでもない子にキスしたりしないし、周りに誤解されるような言動もしないけど」

「えっと、それって……」

「そう言うこと」

俺も真未がずっと好きだったってことだよ。と耳元で甘く囁くと真未は片手を耳に当てて慌てて離れた。
その顔は今までのどの顔よりも真っ赤で、真未は小さく唸りながら両手で顔を隠した。

「好きだよ、真未。
誰よりも好き」

「っ……わかったから、それ以上言わないでっ!」

心臓が壊れるっ!と小さく怒る真未に思わず破顔した。
真未が意外と押しに弱いのは強引にデートに誘った時点でわかっていたのだけど、この反応は反則だ。

好き、大好き、可愛いと抱き締めながら耳元で囁き続けると真未は、もう勘弁して……。と白旗を上げた。
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