無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「じゃあ、また大学でね」

そう言って立ち去ろうとするとパシッと腕を捕まれたので振り返ってみると、朝陽は少し慌てたような顔をしてじっと真未を見つめていた。

「ちょっと待って、まさかまた帰ろうと思ってる?」

「……そのつもりだったけど、まだどこか行くの?」

「デートなんだしさ、もうちょっと一緒にいようよ」

その言葉に真未は暫く考えると、まあいいか。と頷いたのを見て朝陽はホッとしたように微笑んだようだけど、それが何故なのかは真未にはわからなかった。

「今度こそさ、真未のバイト先のカフェに行こう」

「いいけど……なんでそんなにそこに行きたがるの?」

「ま、いいからいいから」

手を引かれて駅に向かい、電車の中でもバイト先のパン屋に向かう途中でも朝陽は決して真未の手を離さなかった。
周りの目が気になりせめて電車の中では手をほどいてもらおうとしたけれど、その動きを瞬時に察してか朝陽はすっと指を絡めるように握りなおして離してくれず、真未はドキドキしっぱなしだった。
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