晴れた雨
「女子負けちゃったんだって?」
「残念ながらね。男子は?」
「バレーはダメダメ。
バスケの方はうちのクラスと遥斗のクラスが決勝進出。」
お昼休憩を挟んで午後の部。
何もすることがない私たちはバスケの決勝を見に来た。
「いや、まさかあそこでサーブミスするとは思わなかったよな!」
そう言うのは、盛岡くんと仲が良い瀬野 勝(セノマサル)くん。
豪快に笑う瀬野くんは、バレー部の時期キャプテン候補らしい。
が、プレッシャーに弱いらしく、肝心なところでミスをするので、あくまでキャプテン候補。
「お、皆来てくれてんじゃん。」
試合が始まる少し前、安藤くんが嬉しそうな顔をして私たちのところへやってきた。
「私たちは安藤の応援しに来たんじゃないけど?」
「そうそう、2組の応援しにきたんだよ~」
「またそれかよ。
ま、いいや、2組をこてんぱんにしてやろ~」
安藤くんはそう言って友達のもとへ走っていった。
「ふ、二人とも、安藤と友達…?」
ずっと静かにしていた瀬野くんが震えながら、私たちに聞いてくる。
「まぁ、友達っちゃ友達。」
「ま、まじか!」
大袈裟に驚く瀬野くんだが、思えば安藤くんは不良という噂があったんだ。
なるほど、びっくりするのも無理ないか。
「盛岡、説明してあげて。」
自分では説明する気がない優実が、盛岡くんに振る。
「えー、山森さんお願い。」
「え、私?!」
結局押し付けられ、私が説明することになった。
安藤くんが不良と噂されるようになり、それは間違いだと言うことを簡潔に説明する。
瀬野くんは、何度も頷き、全て聞き終えると安藤くんをキラキラした顔で見ていた。
その顔の意味はよく分からなかったが、安藤くんが不良という誤解はどうやらとけたみたいだ。