晴れた雨
「ただいまより、バスケの決勝戦を行います。
各チーム並んでください。」
そうこうしているうちに試合が始まった。
「ピッ」
ジャンプボールにより3組がボールを取った。
そのボールはたちまちゴールに近づくが、2組のバスケ部員がボールをカット。
「いけー!そのままゴールだ!」
「3組取り返してー!」
白熱する試合、盛り上がる応援。
優実も盛岡くんも瀬野くんも、必死に2組に声援を送っている。
私はというと、その波に乗ることができず、小さくがんばれーと言う程度。
すると、ボールは安藤くんに渡った。
「安藤くんー!行けー!!」
3組の女子から声援が送られる。
それに答えるように、安藤くんは見事ゴールを決めた。
「キャー!!」
「くっそー!」
すかさずリバウンドに入る2組だが、その後も安藤くんの活躍で結局敗退。
「すご…」
さすが元バスケ部、安藤くんの上手さに私は思わず呟いた。
それは優実と瀬野くんも同じらしく、かなり驚いていたようだ。
ただ一人、盛岡くんだけは満足そうに頷いていた。
「ナイス、遥斗!」
「さっすが遥斗く~ん!」
気がつけば安藤くんは3組の人達に囲まれていた。
私たちもお疲れ様と言いに、バスケに出た人たちの元へ行く。
「あーぁ、負けちゃったか~」
「あの、3組のすごかったな。」
そんな会話を聞きながら、私は安藤くんの方をちらっと見る。
女子に囲まれて楽しそうにしている彼を見て、モヤモヤしたのはきっと気のせいだ。
そう言い聞かせ、また会話に戻った。