晴れた雨
放課後、私は久しぶりに一人で帰ることになった。
盛岡くんがどうしても優実と帰りたいというからだ。
別に断る理由もないので、私は快く了承した。
いつもより少し早歩きで帰っていると、目の前に真野くんの後ろ姿が見えた。
隣には誰もおらず一人のようだ。
私の胸は諦め悪くドキドキと高鳴っている。
どうしよう、このまま抜かそうか…それとも、バレないようゆっくり歩いた方がいいだろうか…
そんな葛藤を繰り返しつつ、少しだけ歩調を緩める。
そんな中、真野くんが気づいてくれないかと期待している自分に嫌気がさした。
自分は本命でもなんでもないのに、舞い上がって傷つけられたはずなのに、どうしても真野くんの事が気になる。
最近は皆とわいわいしていたお陰で忘れていたが、私はまだ真野くんが好きなのだ。
どうか気づかないで…そう思う反面、話しかけてほしい。
そう考える自分がいた。
もちろん女々しいのは重々承知している。
不安と期待で胸をドキドキさせながら、私は徐々に真野くんとの距離をつめていく。
そして私は、そのまま真野くんを抜いた。
真野くんは私に気がついていたのかどうかは分からない。
だけど、私の期待は見事に崩れ去った。
所詮こんなものか…
そう自分に言い聞かせるしかなかった。