晴れた雨
「あはは、やだぁ~」
「あ、山森、こっち来いよ。」
「え、あ、私、ちょっとトイレ。」
思えばその頃から、少し嫌な感じはしていた。
違うクラスの木村さんが、よく真野くんに会いに来るようになったのだ。
私の席に座って、仲良く真野と話す木村さんを見るのは嫌だった。
そして、背中を向けてしまう私も嫌だった。
「山森さんってさ、真野と仲良いの?」
「うん、まぁね。」
「ふーん…」
特に木村さんに何かされたわけでもない。
宣戦布告をされたわけでもない。
だけど、私は木村さんが怖かった。
気がつけば、真野くんと木村さんはどんどん仲良くなっていった。
対して私は、話しはするけど前ほど仲良くはなくなっていった。
そして、二人は見事に付き合った。
というわけだが…
「なんだ、結局逃げたの私じゃん…」
気づけば涙が目から流れていた。
あの時は真野くんのせいにしたけど、二人が付き合ったのは私が木村さんに臆したからだ。
真野くんは思わせ振りな態度をとったわけではない。
思わせ振りな態度をとったのは、私の方だ…
その日私は、ベッドの中で静かに泣いた。
それは、自分が被害者面をしていたことを悔いた涙だった。