晴れた雨
「ブハッ!」
「ん?」
急に私でも優実でもない、思わず出てしまったような笑い声が聞こえた。
その笑い声の主は、隣のクラスの、素行があまりよろしくない男子生徒。
確か名前は安藤 遥斗(アンドウハルト)だったかな…
一度も話したことのないその人は、同じクラスの盛岡 透(モリオカトオル)くんと一緒に肩を震わせて笑っていた。
途端に私の顔は一気に熱くなった。
あまりにショックで忘れていた…放課後とはいえここは教室だった…
男子の存在には気づいていたはずなのに、ヒートアップしすぎた…は、恥ずかしい…
それにしても、笑いすぎじゃない?
必死にこらえている感じだけど、今にも大笑いしそうな感じだ。
「わ、笑わないでよ!」
失恋した揚げ句、当て馬呼ばわりされ、その上話したこともない男子から笑われる。
あまりの悔しさに私は男子に噛みついた。
「薫、ごめんね?」
「うぅ…」
優実がさすがに申し訳ないと思ったのか、謝ってくれた。
それでも自分の惨めさに思わず涙が溢れる。