晴れた雨

「じゃ、私は先に泳いでくるわ!」

「私は浮き輪膨らましてからいくね。」

空気入れは現在使われていたため、私は口で空気を入れる。

「あれ、一人?」

そこに準備運動を終えた安藤がやって来た。

意外と引き締まっている上半身を直視できず、私は思わず目をそらした。

「うん、私泳げないから…安藤も先に泳いできたら?」

「いや、山森一人置いていけないだろ。」

「なんで?」

「そりゃ、悪い男とか来たらさ。」

「なにそれ、ないない。」

生まれてこの方ナンパなんてされたことがない。

優実ならともかく、私はありえない。

「分かってねーな。

てか、それ無理じゃない?全然膨らんでないよな。」

「え?そうかな?」

全然とまではいかなくても、確かに膨らんでない。

「せっかくだから浮き輪なしで泳いでみれば?」

「えぇ、ムリムリ!」

私は正真正銘の運動音痴なのだ。

地上ですらまともに動けないのだから、水上なんてなお無理だ。

「何事もまず挑戦あるのみ!」

「嫌だよ、沈んじゃう!」

「大丈夫、俺に任せろ!」

ほぼ無理矢理プールに入れられる。

なんか前も同じようなことがあった気がする…

ちなみに浮き輪はきちんとロッカーに入れておきました。

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