晴れた雨

しかし、その優実の勘は珍しく外れた。

「水からでたら暑いな~」

「マジそれだわ。」

一遊びしてきた男子3人が、そろって休憩しに戻ってきた。

さて、もう一遊びしようか。

一段落しプールに入ろうと私と優実も一緒に立ち上がったとき、

「安藤、薫がまた泳ぎ教えて欲しいってさ。」

優実がそう言った。

「ちょっ、優実!」

さすがにさっきのさっきで泳ぎを教えてもらうのは無理!

私は余計なことを言った優実の手を掴んだ。

「大丈夫、責任感の強い安藤だから断らないって。」

「いや、そうじゃなくて!」

「悪い、今度は皆で遊ぼうぜ。」

安藤は少し困ったような顔をしてそう言った。

そしてそのまま瀬野くんと盛岡くんとともにプールへ向かう。

残された私と優実の間には気まずい空気が流れる。

「ご、ごめん、絶対とか言って…」

「ううん、大丈夫。」

そうは言ったものの、内心少し…いや、かなりショックだった。

断られたことはまだ良い。

目が一度も合わなかったことが一番キツかった。

安藤は必ずまっすぐ人の目を見て話す人だ。

それなのに…

「薫、大丈夫?」

「うん、大丈夫…!さ、泳ごっか!」

「だね!」

笑って見せた私に安心した顔をする。

しかし、顔とは裏腹に私の心はどんより雲っていた。
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