鬼神様のお嫁様
1つ目の者も居れば6つ目の者も居る。人間の女性がいたと思えば猫の尻尾が付いていたり。
この街は妖で溢れ返っていた。
「あやかし夜市と言うが、まあ、人間の真似事だな」
「へえ…」
「行くぞ、はぐれてくれるなよ」
「は、はい…」
言われるがままに後をついて行くと夜市から離れた所に竹林に囲まれた大きな屋敷があるのが見えた。
大きな門が重い音を立てながらひとりでに開いていく。
「安心しろ、俺以外誰も住んでいない」
「へ…?」
いやいや、そっちの方が逆に大問題じゃない?だって2人きりって事でしょ?
それでも焦っているのはどうやら私だけのようで、彼は全く動じていない。
(私の考え過ぎなのかもなあ…)
ちょっと安心した様な、しない様な。