鬼神様のお嫁様
切れ長の目に長い睫毛、私と同じ赤い瞳だった。形の整った唇が言葉を放つ。
「呪いではない」
「え?でも私は赤い目で生まれたし、お母さんは謎の病で亡くなったのよ」
「俺はただ約束しただけだ、許す変わりに次に生まれる女性を花嫁にもらうと。お前の母親が謎の病で亡くなったのはその時代ではまだ病名も治療法すらも見つかっていなかっただけだ」
(そんな…)
それじゃあ、私があんなに忌み嫌われてたのは何だったの?
代々受け継がれてきた話は何処かで内容が変わってしまったんだ。
伝言ゲームで最初は伝わっていても最後には全く別物になってしまっているそれと同じだ。
それなら暁が言っている事は正しい。
東雲家は屋敷を建ててから今まで男の子しか生まれて来なかった。そして私が生まれたわけであるから鬼神様の花嫁という事になる。
ずっと納得していなかった。
ずっと心の中にあったモヤモヤが無くなって、やっとストンと落ちた。
やっと、腑に落ちた。