鬼神様のお嫁様
『その子を寄越しなさい!こんな子と一緒にいたらあなたの御魂が汚れ、呪われてしまうわ!』
『やめて下さい…!私から赤ちゃんを奪わないでっ…!』
『鬼の子だなんてとんでもない!世間に知られたら東雲家の名が穢れるわ!別棟で過ごさせねば』
母は私を産んだ後、謎の病で亡くなってしまった。これも鬼の呪いなんだと散々騒いだそうだ。
東雲家が鬼を忌み嫌う理由は、数百年前に遡る。
東雲家のとある大旦那が鬼神様を祀る社を壊してでもその土地に自分の屋敷を建てると言って無理矢理自分の物にしたという。
その行動が鬼神様の逆鱗に触れ、東雲家は呪いをかけられたと言う昔話だ。
つまり私達が住むこの屋敷は元々、鬼神様の社が建てられていたという事になる。
鬼神様の目は赤い。
だから目の赤い者は東雲家では呪われた子、鬼の子とされる。
屋敷のみんなが私を嫌う理由はそれだ。