鬼神様のお嫁様

こうして別棟で過ごしてきた私は今日で16になった。

世間に知られない様にと外出が禁止されている為、私はこの敷地から出ることは出来ない。

正に籠の中の鳥。ずっとこの屋敷に縛られている。

この家は地獄だ。

(この家から出られる日なんて来るのかな…)

食事を口に運び咀嚼する。味はしない。当たり前だ。

使用人が毎日食事を作ってくれるものの、それらは全て味がしなかった。当然美味しいわけがない。

この家の誰かが使用人にそうするように指示しているのだと思う。

出るはずもない食欲を奮い立たせ、健康のためだと言い聞かせてお腹を無理矢理満たす。

それも、もう慣れてしまった。16年間もそのような食事を続けていれば慣れてしまうのも当たり前だ。

(あーあ、美味しくないなあ……)

それでも、食事を作ってくれるのは例え赤い目だとしても東雲家の血が流れているわけで、一応家族であると認識されているからなのか。

それとも私が病気にでもなったら鬼神様からのバチが当たるとでも思っているのか。

「ごちそうさまでした」

食器を片付け、着物に着替える。
< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop