鬼神様のお嫁様
低く落ち着いた威厳のある男の声。その声はよく通るけれど煩くは無く寧ろ心地良く感じた。
「お前にとったら鬼なんかよりも人間の方がよっぽど恐ろしい生き物だろう。違うか?」
その問いを否定する事は、私には出来なかった。鬼神様も恐ろしいけれど私にとっては人間の方がよっぽど恐ろしい。
幼い頃から今まで浴びせられてきた言葉の暴力は数え切れない。それでもずっと耐えてきた。
いつか報われると信じていたから。
「お前が16になるのを待ち侘びていた」
「待ち侘び……って、どういう事?」
一瞬、優しく微笑んだような気がした。
「お前は人の世に収まるほど小さな器なんかじゃ無い。さて、ここで1つ、お前に問う」