過去の精算
「…えーと…未琴、君にはまだ紹介してなかったね?」
紹介…?
彼女を…恋人を…私に紹介するの?
「彼は外科医のグッドマン・シーディー。そして、彼女は麻酔科医のブレナ・アンジェラ。
今回親父のオペの為にニューヨークから来てもらった」
「そう…それは遠くから…ありがとうございます。じゃ、私はこれで、父の元に戻りますので」
その場を一人離れようとしたら、何故かグッドマンさんが私を抱きしめた。
ちょ、ちょっと!
な、なんなの!?
彼の胸を押し離れようとしても離してくれず、その上、彼はとんでも無いことを言い放ったのだ。
「カズ、アンジェラと良い事するなら、代わりに彼女借りていいかな?
最近ご無沙汰でね?
一度日本の女性、抱いてみたかったんだ?」とグッドマンさんは言った。
はぁぁぁ!?
日本の女性を抱いてみたかった!?
冗談じゃないと思っていると、なぜかブレナさんが、グッドマンさんの胸ぐらを掴み殴ったのだ。
何が起こったのかと呆然としていると、前谷君が場所を変えようと言って、その後、話をする為に私達四人は彼の部屋へと向かった。
「あの…やっぱり私、父の事が心配なので…」
戻るという、私へブレナさんは “ 大丈夫 ” と言った。
「カズのオペは完璧だったし、アンジェラの麻酔も完璧だから、まだ、20分は目が覚めないよ?」と、シーディーさんがそう言うと、ブレナさんは、“ 18分よ! ” と言った。
「未琴、正直に話すと…アンジェラとは君が思ってる関係だった」
「あらカズ、だったは無いでしょ?
私はまだ関係は続いてると思ってるわよ?
だから今回も私を呼んだんでしょ?」
「アンジェラ、いい加減素直になれよ?
君がシーディーを愛してるのは、俺も知ってる。
それに、今回、君達を呼んだのは、君達の腕を信頼しての事だ。
俺には、もう未琴が居る。
悪いが医者としての君にしか興味ない」
え?
私が居る…?
じゃ、…
「シーディーも、アンジェラの気を引こうとして女遊びしてないで、そろそろ男らしく決めろ!」
前谷君の言葉に、グッドマンさんは首に掛けていたネックレス外した。
え?
それって…
グッドマンさんのネックレスには指輪が付けられており、それを外すとブレナさんの前にひざまついた。
そして、愛を囁きプロポーズしたのだ。
うっそ…