過去の精算

私と前谷君は、二人を残しそっとその場を離れ、父の病室へと向かった。

「未琴…また、色々嫌な思いさせたな? ごめん。
でも、アンジェラを呼んだのは、本当によりを戻したいとかじゃなくて…」

「もういいよ? 分かったから?
でも、プロポーズはしてくれるの?」

「勿論!
でも、親父の回復を待ってからな?」

もしかして、彼が “ 少し時間をくれ ” って言ったのは…
私を嫌いになったからじゃ無くて、父の手術の事があったから?

「良かった…
少し時間をくれなんて言うから、ちょっと心配しちゃった!
ブレナさんとの事も見たし…
カズの事諦めなくちゃって思ったんだから!」

私の言葉に目を丸くする彼。

「どうかした?」

「今、カズって…」

「あ、ごめん。
前谷君って呼ぶのもなんだかなぁと思って?
それに、ブレナさんやグッドマンさんが、そう呼んでだから…
ダメだった?」

「やっぱり…無理!」と言って、私の腕を掴み引き返そうとする彼。

「ど、どうしたの?」

「未琴を今すぐ抱く!」

「え!?
だって、お父さんが!」

「大丈夫! 後10分有る! ママも居るんだろ?
多少遅れても、ママの事だ察しはついて親父に話してくれるさ?」

それはそれで嫌だけど…
でも、今は私も彼に抱きしめて欲しい。

私達は、グッドマンさん達の居る部屋の隣、院長室へ入り、愛を確かめ合った。




おわり
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