過去の精算

幸子さんも帰って来た事だし、私は帰る事にした。

「木村さん、本当に有難うございました」

「いいえ。また、何か困った事が有ったら言ってくださいね?」

「有難うございます。
若先生に迄、お世話になって…
あの…往診代は?」

「大丈夫ですよ?
限度額認定証と保険証を持って、今月中に病院迄来て頂ければ、お返しする分が有りますので?」

前谷君も、特に何も治療してないから、診察代は良いと言う。

「有難う御座います。 助かります」

「かえって面白い物が見れて、こちらの方が拝観料払いたい程だ」

は…拝観料…!?
これ以上ここに居ては、前谷君が何を言いだすか分からない。
さっさと、帰った方が得策だ。

首を傾げる幸子さんに見送られ、私は林さん宅を後にする。




< 29 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop