過去の精算
幸子さんも帰って来た事だし、私は帰る事にした。
「木村さん、本当に有難うございました」
「いいえ。また、何か困った事が有ったら言ってくださいね?」
「有難うございます。
若先生に迄、お世話になって…
あの…往診代は?」
「大丈夫ですよ?
限度額認定証と保険証を持って、今月中に病院迄来て頂ければ、お返しする分が有りますので?」
前谷君も、特に何も治療してないから、診察代は良いと言う。
「有難う御座います。 助かります」
「かえって面白い物が見れて、こちらの方が拝観料払いたい程だ」
は…拝観料…!?
これ以上ここに居ては、前谷君が何を言いだすか分からない。
さっさと、帰った方が得策だ。
首を傾げる幸子さんに見送られ、私は林さん宅を後にする。