過去の精算

お墓参りの帰り、何故だか前谷君は、私を隣町にある美容室へと連れて行った。

「降りろ!」

「はぁ?」

「その色気も何も無い、伸ばしっぱなしの髪、なんとかしてもらえ!」

自分で毛先は切っていたが、確かに伸ばしっぱなしにはしていた。
美容室で切ってもらったのは、いつだったか覚えていないくらいだ。
だからと言って…
彼にどうこう言われる筋合いではない。

「私に色気が無くて、若先生にご迷惑おかけしますか?」

「ああ、迷惑だ!」

はぁ゛?

「周りに置く女性には綺麗にしていて貰いたい。そう思うのは、男として当然の事だろ?」

置くって…

「私は、前谷総合病院で働いてますが、若先生のお飾りでも無いし、側に居るつもりも有りません!」





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