グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
耳をふさいでいるノエリは、何かに怯えているようだ。
着信が鳴らなくなると、その場に座り込んでしまうノエリ。
ボーン。
振り子時計が鳴った。
19時を指していた。
ノエリは座り込んだまま気を失っている。
時計の音に気付かないままである。
ガチャっ。
「ただいま」
ジックニーが帰ってきた。
灯りがついていないリビングを見て、不思議そうに首を傾げたジックニー。
灯りをつけるとノエリが倒れているのを目にして、顔色を変えた。
「ノエリ! どうしたの? 」
ジックニーが抱きかかえると、ノエリはうつらうつらと目を覚ました。
「ノエリ? 大丈夫? 」
「・・・私・・・どうしてしまったの? 」
「顔色が悪いよ、どこか痛む? 」
「いいえ・・・」
ジックニーはふと、テーブルの上にある携帯電話が目に入った。
着信のランプが点滅している。
表示には着信20件と表示されていた。
「とりあえず休もう」
ノエリを抱きかかえて、ジックニーは寝室へ向かった。
ノエリをベッドに寝かせると、首元まで布団をかけた。
「お昼ご飯はちゃんと食べた? 」
「あ・・・忘れていました・・・」
「忘れちゃうくらい、何かあった? 」
「・・・いいえ。・・・普段、あまり食べないものですから・・・」
そう答えるノエリが、とても元気がなく小さく見えたジックニー。
「ノエリ・・・」
ベッドの端に腰かけて、ジックニーはノエリの手を握った。
握られた手から、とても暖かい何かが伝わってきて、ノエリはとても心地よくなった。