グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「・・・ノエリ。大丈夫だよ、1人じゃないって言ったろ? 俺が、ちゃんと護ってあげるから何も心配しなくていいんだよ」
護ってあげるって・・・。
また夢なんだね?
そう思って、ノエリはそっと目を伏せた。
「また夢だって思っている? どうしたら、現実だって判ってくれる? 」
「・・・私に構わないで下さい。・・・大丈夫ですから・・・」
そう答えるノエリは、とても寂しそうな目をしていた。
「とりあえず、ちょっと横になってて。夜ご飯作るから」
ポンポンと、ノエリの頭に手を置いて、ジックニーは寝室を出て行った。
1人になると、ノエリは目を閉じて少し眠った。
リビングにジックニーが戻ってくると、ノエリの携帯がまた鳴り始めた。
ヴァイブ音が響いているが、何度も何度も鳴っている。
ジックニーは携帯電話を手にとって、着信を見てみた。
着信表示は「デルバ」と表示されている。
切れてはまたかかり・・・とてもしつこい着信。
もしかして、ノエリの身内?
いや、両親はもう亡くなっていて誰もいないと言っていたから。
でも、電話帳登録をしてあるって事は、ノエリとは親しい人なのだろうか?
何度も鳴る着信に、疑問を感じたジックニーは、何度目かの着信に意を決して出てみた。
(ちょっとノエリ! やっと出たの? 何回かけさせるつもり? あんた、なんでお金持ってこないの? 昨日からずっと連絡とれないなんて、まさか逃げたんじゃないでしょうね? あんたなんて、行く場所ないでしょう? そんな醜い顔して。仕事だってろくに見つかりもしないのに。私から電話が鳴ればすぐに出る! そう言ったでしょう! )
ものすごい剣幕で怒鳴りつけてきた、低めの声の女性。
ジックニーはその女性から、とても嫌な感じを受けた。
(いい? ノエリ。明日までに5万ギロを、必ず持ってきなさい! 家に帰って来なかったり、逃げたらどうなるか分かっている? 私から逃げられると思っていないでしょうね? )
ギュッと、ジックニーは拳を握り締めた。