グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
ノエリの携帯電話を持ったまま、ジックニーは玄関先の部屋に向かった。
その部屋にはグランドピアノとヴァイオリンが置いてある。
薄暗く、防音設備も整っているようである。
(ちょっとノエリ! 聞いているの? )
ジックニーは呼吸を整えた。
「あんた、誰? 」
いつものジックニーとは違う、低くて怖い声。
(・・・誰? ノエリじゃないわね? )
「人の名前聞く前に、自分が名乗れよ」
(はぁ? ノエリの電話に、なんで男が出るの? ノエリは? ノエリを出しなさい! )
「あんたの命令は聞かない。あんた、ノエリを強請っているのか? 」
(はぁ? 何言っているの? あんなに醜い子を、家に住まわしているの。生活費をもらうのは当たり前でしょう? )
「ふーん。・・・じゃあもう、その必要はないな」
(どうゆう事? )
「ノエリはもう戻らない。だから、あんたにお金を払う義務はない。もう二度と、付きまとうな」
(何言っているの? ノエリは私の妹よ)
「妹か。じゃあ何故そんな高額を要求するんだ? 醜い子って、あんたの妹だろう? 」
(ええ、恥ずかしいわ。あんな子が妹だなんて)
「じゃあ、ノエリが居なくなったって構わないだろう? 」
(行く場所なんてないわ、あんな醜い子。仕事だってろくに見つけれないんだから)
「・・・もういい、あんたと話しても埒が開かない。ノエリはもう、あんたの下には戻らない! この電話も解約させる。二度と近づくな! 」
それだけ言うと、ジックニーは電話を切った。
電話を切ると、すぐに着信が入る。
相当しつこいようだ。
ジックニーは電源を切った。
「ノエリ・・・。もういいんだよ、幸せになろう・・・」
携帯電話をポケットにしまい、ジックニーはリビングに戻った。