グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
 しばらくして。

 ジックニーは疲れているノエリに、暖かいおかゆを作って寝室へ持ってきた。

 ノエリはまだ眠っていた。

 机の上におかゆを置くと、床に手帳が落ちているのが目に入った。


 このままでは踏んでしまう。

 そう思って、ジックニーは手帳を拾い上げた。

 すると・・

 ヒラヒラと何かが落ちてきた。


 手帳を机の上に置き、ジックニーは落ちた何かを拾った。

 拾ったのは写真だった。

「これは・・・」

 写真を見ると、ジックニーは驚いた目をした。


「ノエリ・・・」

 写真を見つめていると、ジックニーの目が潤んできた。

「・・・やっぱりそうだったんだ。・・・」

 写真を抱きしめると、そっと手帳の中にしまうジックニー。


「ん・・・」

 ノエリが目を覚ました。

「ノエリ。おかゆ作って来たんだ。食べれる? 」

 ジックニーが声をかけると、ノエリはゆっくり起き上がった。

「わざわざ持ってきてくれたのですか? ごめんなさい」

 半身を起こして、ノエリはジックニーを見た。

 マスクをして顔隠しているノエリを見ると、ジックニーの胸が痛んだ。


 机の椅子をベッドの近くに持って行き、おわんにおかゆをついで持ってくるジックニー。


「卵が沢山入っているから、栄養もたっぷりだよ。食べてみて」

 そう言って、ジックニーはスプーンでおかゆをすくって冷ますと、ノエリの口へ持って行った。


「あ、自分で食べます」

「いいよ、俺が食べさせてあげる」

「そんな・・・」

「人に甘えたっていいんだよ、ノエリ」

 
 甘える? 

 そんな事、考えたことなかった。

 ノエリはそっと、ジックニーを見つめた。


「ねぇノエリ。ずっと1人で頑張って来たんでしょう? 辛いことも、苦しい事も。みーんな1人で抱えて、誰にも話すこともできなくて・・・苦しかったでしょう? 」


 何言っているの? 

 まるで、心の中を見透かされているよう・・・。

 ノエリは何も答えない・・・。


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