グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「1人じゃないよって、言ったよね? だから、寝る時だって1人じゃないんだよ。俺が、傍にいるから」

 抱きしめているジックニーの腕に力が入ったのを、ノエリは感じた。

 こんなに優しくて、包容力がある人なのに、どうして私なんかに優しくしてくれるのだろう?

 本当の私に戻りたい? って、そんな事聞くなんて・・・。


 ノエリはそっと、ジックニーの手に手を重ねた。


 重ねられたノエリの手は、見かけより随分と細く、指も長くて綺麗である。


 顔は太って浮腫んでいるのに、ノエリの体は華奢でとてもスタイルがいい。

 どうしてこんなにアンバランスなんだろう? 

 ジックニーはふと、疑問を感じた。


「ノエリ。何も心配しなくていいから、ぐっすり寝て。今日は、なんだかとっても傷ついて、怖い思いをしたようだから。ずっと、俺がこうして抱きしめているから」


 まるで、ノエリの心の中を見透かしているようなジックニー。

 ジックニーの手を握ったまま、ノエリは次第にとても安らいだ気持ちになってゆき眠りに落ちていた。




(え? 貴女がノエリさん? 何言っているんですか? 提出写真が全然違うじゃないですか)

(そ、それは前写した写真ですから)

(はぁ? いい加減にしてもらわないと、検察呼びますよ! )


 ノエリが大学を卒業して、就職が決まった時だった。

 前もって提出された書類の写真と別人だと言われ、せっかく決まっていた就職はダメになってしまったノエリ。

 ノエリが専攻していたのは薬学部だった。

 父親の病気を治すために、薬を開発したいと願って専攻した学部だった。
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