グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

 しばらくして、ジックニーが起きてきた。

 洗面を済ませて戻ってきたジックニーは、テーブルの上に用意されている朝食を見て驚いた。

 シンプルなお味噌汁とご飯、そして目玉焼きとハムが焼いてあった。


「これ、ノエリが作ってくれたんだよね? 」

「は、はい・・・。すみません、あまり上手くなくて」

「そんな事ないよ」

 椅子に座ると、ジックニーは焼き立ての目玉焼きを見て嬉しそうに微笑んだ。

「いただきます」

 食べ始めるジックニーを、ノエリは少し不安そうな目で見ていた。

 もくもくと食べてくれるジックニー。

 
「美味しかった」

 綺麗に全部食べて、ジックニーはとても満足した顔をしている。


「誰かに朝ご飯作ってもらうなんて、何年ぶりかな? ノエリの作るお味噌汁、俺の母さんの作るお味噌汁と、少し味が似ていたから懐かしかったよ」

「・・・お口に合って、良かったです」

「ねぇノエリ。今日は一緒に買い物に行こう」

「買い物? 私は結構です。何もほしい物はありませんので」

「何言っているの? ノエリの服、買いに行こう」

「いいです、今持っている服だけで間に合っていますので」

「でも、ノエリの着ているコート。袖口が綻んでいたよ。新しいコート買おうよ」


 新しいコート。

 そんな事考えた事なかった。

 今着ているコートは、ノエリが大学の時に買ったコートだった。

 自分の服を買う事なんて、考えなかったし、コートが綻んでいる事もきづかなかった。

「決まりだね、俺、食器かたずけるから。ノエリは準備してきて」

 嬉しそうに、ジックニーは食器を片付け始めた。

 


 朝食を済ませてから、ノエリはジックニーと城下町にやって来た。

 一緒に歩いていて、ジックニーが恥ずかしくないようにと、マスクで顔を隠しているノエリ。

 
 城下町の商店街には、素敵な服が沢山売っている。
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