グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

「あ! これ、ノエリに似合いそうだよ」

 ショーウィンドーに飾ってある、グレーの暖かそうなコートを指してジックニーが言った。


 ふと値段を見てみると、2万ギロだった。

「・・・私は・・・そんな高価なものは、結構です」

「どうして? コートは必需品じゃないか。しっかりした素材のものを買っておいた方が長く使えるんだよ」

「でも・・・私には似合いませんから・・・」


 そう、こんな私になんて似合わない、あんな素敵なコート。

 ノエリはそう思った。

 と・・・

 ジックニーはノエリの手を引いて、店の中へ入って行った。

「すみません、あのショーウィンドーに飾ってあるコート見せてもらえませんか? 」

 ジックニーがお店の人に声をかけた。

「ん? おや、随分と綺麗な兄ちゃんだね? そっちの彼女が着るのかい? 」

 ちょっと太めの中年女性が言った。

「ええ、そうですよ」

 女性はノエリを見た。

「フム。スタイルよさそうだね、ちょっと着てみな」


 ショーウィンドーに飾ってあるコートを持ってきて、女性はノエリに羽織らせた。


 ロングコートのようだが、ノエリが着るとハーフコートになってしまう。

 だが、とても良く似合っている。


「わぁ~。ノエリにとっても似合っているじゃないか。そうだ、このコートに合わせてマフラーはある? 」

「はいよ、ちょっと待ってな」


 女性はフワフワとした白いマフラーと、濃いめの青いマフラーを持ってきた。


 どちらを合わせても、ノエリに良く似合っている。

「迷うなぁ・・・。いいや、これ両方とも買うよ。それからこのコートもね」

「まいどありっ」


 ノエリは鏡に映る自分の姿を見てみた。

 グレーのコートは、なんだかノエリの魅力を引き出してくれるようで、とても似合っていた。
< 27 / 88 >

この作品をシェア

pagetop