グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「あ! これ、ノエリに似合いそうだよ」
ショーウィンドーに飾ってある、グレーの暖かそうなコートを指してジックニーが言った。
ふと値段を見てみると、2万ギロだった。
「・・・私は・・・そんな高価なものは、結構です」
「どうして? コートは必需品じゃないか。しっかりした素材のものを買っておいた方が長く使えるんだよ」
「でも・・・私には似合いませんから・・・」
そう、こんな私になんて似合わない、あんな素敵なコート。
ノエリはそう思った。
と・・・
ジックニーはノエリの手を引いて、店の中へ入って行った。
「すみません、あのショーウィンドーに飾ってあるコート見せてもらえませんか? 」
ジックニーがお店の人に声をかけた。
「ん? おや、随分と綺麗な兄ちゃんだね? そっちの彼女が着るのかい? 」
ちょっと太めの中年女性が言った。
「ええ、そうですよ」
女性はノエリを見た。
「フム。スタイルよさそうだね、ちょっと着てみな」
ショーウィンドーに飾ってあるコートを持ってきて、女性はノエリに羽織らせた。
ロングコートのようだが、ノエリが着るとハーフコートになってしまう。
だが、とても良く似合っている。
「わぁ~。ノエリにとっても似合っているじゃないか。そうだ、このコートに合わせてマフラーはある? 」
「はいよ、ちょっと待ってな」
女性はフワフワとした白いマフラーと、濃いめの青いマフラーを持ってきた。
どちらを合わせても、ノエリに良く似合っている。
「迷うなぁ・・・。いいや、これ両方とも買うよ。それからこのコートもね」
「まいどありっ」
ノエリは鏡に映る自分の姿を見てみた。
グレーのコートは、なんだかノエリの魅力を引き出してくれるようで、とても似合っていた。