グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
 
 ジックニーが歩いていると、鞄の中で何かが鳴った。

「ん? 」

 鞄からジックニーが取り出したのは携帯電話。

「誰? 知らない番号だ・・・」

 不思議そうに首を傾げて、ジックニーは電話に出た。

「はい、もしもし? どなたですか? 」

(・・・あの・・・)

 電話の向こうは落ち着いた感じの女性の声。

「はい? どなたですか? 」

(あの・・・。私と・・・結婚して下さい・・・)

 
 ジックニーは歩く足を止め、立ち止まった。

「いいですよ」

 満面の笑みを浮かべ、ジックニーは即答した。

(あ、あの・・・。本当にいいのですか? ・・・)

「ええ。貴女なら大歓迎です」

(あ・・・)

 女性は返す言葉を失ったようだ。

「お名前を教えて下さい。俺は、ジックニーです」

(・・・ノエリと申します・・・)

「ノエリさんですか。素敵なお名前ですね。じゃあ、さっそくお会いしましょう」


 満面の笑みのまま、ジックニーは空を見上げた。

 夕日が輝く空を見て、ジックニーはまた嬉しそうに微笑んだ。


「明後日の昼間、お時間頂けますか? 」

(明後日・・・はい・・・大丈夫です・・・)

「じゃあ、城下町広場の噴水前で。時間は13時で、いいですか? 」

(はい、わかりました。お伺いします)

「それじゃあ、よろしくお願いします」

(はい・・・)


 電話を切ると、ジックニーはとても嬉しそうにギュッと電話を握り締めた。

 そのまま歩き出してゆくジックニー。


 今まで縁談の話しは全て断って来たジックニー。

 だが、知らない相手からの電話で即答してしまうとは・・・。
  
 
 
< 3 / 88 >

この作品をシェア

pagetop