グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
ジックニーが歩いていると、鞄の中で何かが鳴った。
「ん? 」
鞄からジックニーが取り出したのは携帯電話。
「誰? 知らない番号だ・・・」
不思議そうに首を傾げて、ジックニーは電話に出た。
「はい、もしもし? どなたですか? 」
(・・・あの・・・)
電話の向こうは落ち着いた感じの女性の声。
「はい? どなたですか? 」
(あの・・・。私と・・・結婚して下さい・・・)
ジックニーは歩く足を止め、立ち止まった。
「いいですよ」
満面の笑みを浮かべ、ジックニーは即答した。
(あ、あの・・・。本当にいいのですか? ・・・)
「ええ。貴女なら大歓迎です」
(あ・・・)
女性は返す言葉を失ったようだ。
「お名前を教えて下さい。俺は、ジックニーです」
(・・・ノエリと申します・・・)
「ノエリさんですか。素敵なお名前ですね。じゃあ、さっそくお会いしましょう」
満面の笑みのまま、ジックニーは空を見上げた。
夕日が輝く空を見て、ジックニーはまた嬉しそうに微笑んだ。
「明後日の昼間、お時間頂けますか? 」
(明後日・・・はい・・・大丈夫です・・・)
「じゃあ、城下町広場の噴水前で。時間は13時で、いいですか? 」
(はい、わかりました。お伺いします)
「それじゃあ、よろしくお願いします」
(はい・・・)
電話を切ると、ジックニーはとても嬉しそうにギュッと電話を握り締めた。
そのまま歩き出してゆくジックニー。
今まで縁談の話しは全て断って来たジックニー。
だが、知らない相手からの電話で即答してしまうとは・・・。