グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「・・・貴方に・・・本当の自分に戻りたい? って聞かれたときから、ずっと、ここが痛んでいました・・・」

 ノエリはそっと、胸に手を当てた。

「こんな私に、とても親切にしてくれて。・・・適当にかけた電話なのに、結婚を承諾してくれるなんて。夢を見ているようでした。・・・これは夢だから、いつかは覚めてしまう・・・。そう思うと、いつも眠って目覚めるのが怖かったです。・・・あの電話をかけた時からずっと・・・私・・・」


 思いが込みあがって、ノエリは言葉がうまく出なくり俯いた。


「分かっているよ、ノエリの気持ち。俺も、電話を受けた瞬間からずっと感じていた。ノエリのとっても暖かいエネルギーを。だからノエリの事、俺の命を懸けても幸せにしたいって思ったんだ」


 命を懸けてなんて、そこまで私の事を想っていてくれていたなんて・・・。

 俯いているノエリの頬に、涙が伝った。


「そんなに私の事を? こんな私なのに・・・」

 泣き出してしまったノエリを、ジックニーはギュッと抱きしめた。

「ノエリはとっても可愛くて、素敵だよ。俺はずっと、ノエリの本当の顔を見ているって言ったじゃないか。だから、ノエリが本当の自分に戻りたいって心から願うなら。俺はそれを叶えてあげたいと思っている」

「・・・できないから、そんな事・・・」

「どうして、そんな言い方をするの? 」

「この顔は・・・姉が、やった事ですから・・・」

「デルバさんが? 」

「はい・・・。寝ている間に、変えられてしまったのです」

「変えられたって、もしかして整形か何か? 」

「はい・・・」

 涙を流して、俯くノエリを、ジックニーはギュッと抱きしめた。



 
 15年前。

 ノエリが大学を卒業した頃。

 もうすぐ新入社員として、仕事も始まるとワクワクしていた時。


「ノエリ、今日は貴女の就職祝いよ」

 そう言って、デルバは食卓に沢山の料理を並べてくれた。

 美味しそうなステーキ、そしてサラダ、高級ワインもあった。


「こんなに・・・いいの? 姉さん」

「ええ。だって、貴女の新しい出発じゃない。盛大にやりましょう」

 ワインをグラスに注いで、にっこり笑うデルバ。

 しかしその笑顔は、なんだか怖い笑顔だった。



 楽しい笑い話をしながら、デルバとノエリは楽しく食事をしていた。

 ワインを沢山すすめられ、ノエリは美味しく飲んでいた。


 食事も済んで、入浴も済ませてノエリはぐっすりと眠りに落ちていた。


 そんなノエリの下にやって来たデルバ。

 ニヤリと笑いを浮かべるデルバの手には、注射器が・・・・

「養女のくせに・・・なんであんたが、いい思いしなくちゃならないわけ? 許さないわ! 」

 とても恐ろしい目でノエリを睨みつけると、デルバは注射器をノエリの顔に刺した。

 不敵に笑うエデル・・・。



 ぐっすり眠って目を覚ましたノエリは、いつもようのに洗面所へ向かった。

 すると・・・

 鏡に映る自分の顔を見て驚いて、悲鳴を上げた。
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