グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「お会いできて、とても嬉しいです。これから、よろしくお願いしますね」
  
 そう言って、優しく微笑みかけるジックニー。

 握られているジックニーの手から、不思議な暖かさが伝わってきて、ノエリは何も言えなくなった。

「ノエリさん。もう、婚姻届けは書いてきました」

 ポケットから婚姻届けをとりだすと、ジックニーはノエリに見せた。

 婚姻届けにはジックニーの名前は勿論その他必要なことは全て記入されている。



 婚姻届けまで用意して・・・しっかり記入してくるなんて・・・

 どうして?



 ノエリは驚くばかりで言葉が見つからなかった。


「後は、貴女の所を書き入れてくれればいいですよ」


 嘘だ。

 これは夢なんだ。

 だって、こんなにカッコよくて優しそうな人が、私なんかと結婚してくれるなんてありえない。

 夢なら別にいい・・・だって、すぐに覚めるから・・・。


 ノエリはそう思った。


「分かりました。記入してきます・・・」

 そう言って、婚姻届けを受け取ろうとしたノエリを、ジックニーはひょいとかわした。


 え?

 きょんとした目をしているノエリに、ジックニーはそっと微笑んだ。


「記入してきますじゃないですよ。ちゃんと、俺の目の前で書いて下さい。それから一緒に提出しましょう」

「目の前でって・・・今ここで書くということですか? 」

「うーん、そうしたいけど。こんなに大勢の人がいるからね、一緒に役所に行ってそこで書けばいいですよね? 」

「はぁ・・・。じゃあ、そうします・・・」


 夢だから・・・役所に行く前に覚めるに決まっている。

 ノエリはそう思った。

 

 だが・・・
 
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