グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

(キャー!! )

 悲鳴を上げたのはノエリ。

 朝起きて鏡を見て、自分の顔驚くノエリ。

(あら、なぁに? その顔)

 クスクスと笑っているのは、姉のデルバ。

(かわいそうに、そんなに醜くなっちゃったの? )

 くすくすと笑いながらデルバは去ってゆく。

 ノエリは何が何だか分からない。

 昨夜、突然眠気に襲われて長い時間寝ていたような気がする。

 普通に自分の部屋で目覚めたのに。

 翌日起きたら、鏡に映る自分の顔が見たことがないくらい醜くなっていたのだ。
 
  

 何が何だかわからず、ただ絶望しかないノエリ。

 
 ノエリが大学を卒業した時だった。

 決まっていた就職先も断られ、外を歩くと「ブス! 」「キモイ! 」などと中傷され、石を投げられたり、泥水をかけられたりと酷い事ばかり・・・。

 
 死にたいとずっと思っていた。

 なんとか塗装の仕事につけたノエリ。


 ずっと顔を隠したまま気づけは30歳を過ぎていた。

 姉のデルバは立派な医師になって、貴族と結婚した。

 綺麗な顔の姉のデルバ。

 誰もが振り向きそうな、まるで女優のような顔をしているデルバと、醜い妹のノエリ。

 デルバはプライドが高く、負けず嫌いな性格で、いつも自分が一番でなければ気が済まない。

 貴族と結婚してからは、ノエリとは疎遠になっていたが、夫と離婚して両親が亡くなった事で戻ってきた。

 ノエリの家は平民でもお金持ちで、広い屋敷に住んでいた。

 デルバの嫁いだ先の貴族は、貴族の中でもそれほどお金持ちではなく、屋敷も広くはなかった。

 夫とは離婚前もほとんど別居状態で、デルバは仕事を辞めて夫のお金で好き勝手やっていた。

 両親が亡くなってからは、ノエリを働かせてお金を全て奪っていたデルバ。
 

 ノエリは気づけば32歳になっていた。
 
 このまま結婚もできないまま、一生終わってしまうのか・・・。

 何とか手に入れた携帯電話を見つめたノエリは、その時、不意に思いついた。

 適当に誰かに電話して、結婚を申し込んでみよう。

 断られたら次に・・・

 見つかるまでかけてみよう。

 そう思って電話をかけて一番に繋がったのがジックニーだった・・・。

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