グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「俺の父さんは、グリーンピアトの皇子だったんだ。でも、身分を捨てて地底に行ったんだ」
言われてみれば、ジックニーとアディールはどことなく似ている。
ちょっと人を見下しているような、俺様な顔つきや、顔の輪郭はそっくりである。
「そうだったんですね・・・。そんな事とは知らず、私・・・」
ギュッと唇を噛んで、俯いてしまうノエリを見て、ジックニーは傍に歩み寄りギュッと抱きしめた。
「ごめん。別に隠していたわけじゃないよ、ただ、話す機会がなかったから。こんな形で知らせてしまって、本当にごめん」
ノエリは複雑だった。
ただの平民で、地底の血を引いているだけだと思っていたジックニーが、まさか国王であるアディールと親戚だったとは・・・。
「全く、2人共。何も知らないまま結婚したのか? 」
ため息交じりにアディールが言った。
「だが、私とジックニーが親戚であろうと。お前達の気持ちが変わる事はないだろう? 大切なのは、自分がどうしたいのか。それだけじゃないか」
そっと、身体を離してジックニーはノエリを見つめた。
「ノエリ、俺が国王様の親戚だと知ったら。気持ち、変わってしまった? 」
「い、いいえ・・・。ただ・・・私でいいのかと・・・」
「そんな言い方止めようって、約束したばかりじゃないか」
「だって・・・」
頭では分かっているノエリだが、まだ気持ちがついてゆかないようだ。
「とりあえず城へ行くぞ。玄関も壊れている、ここは暫く住むことはできないからな」
お城・・・。
そんなすごいところに行くことになるとは・・・
ノエリは複雑な気持ちのまま、ジックニーとお城へと行くことになった。