グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
「俺の父さんと母さんは、お城にでも来てくれるよ」
「でも、そこまで甘えてしまう事は出来ないわ」
「うーん。いいんじゃないかな? だって、ここは父さんにとっては、自分の家だったところだから」
「そうだけど・・・」
「何も気にしなくていいよ。流れには、逆らわないってことだよ」
浮かない顔をしているノエリの隣へと、ジックニーはやって来た。
「ノエリ・・・」
隣に座ると、ジックニーはそっとノエリの肩を抱いた。
「もうね、何も心配しなくていいんだよ。全て、終わったんだ。これからは、自分の幸せを考えたらいいんだよ」
自分の幸せ・・・そんな事、考えた事なかった。
もう幸せになっていいのかな?
ノエリがそんなことを考えていると、ギュッとジックニーが抱きしめてきた。
暖かい・・・
いつも以上に、ジックニーの腕の中が暖かくて、ノエリはそっと身を任せた。
落ち着ける場所があるという事は、とても幸せだ。
こうして抱きしめてくれる人が居る・・・。
一ヶ月前のノエリには、そんな人が現れるなんて考えられなかった。
不意に思い着いた、適当に電話をかけて結婚を申し込むこと。
これはきっと、神様がくれたヒラメキだったに違いない。
ジックニーの腕の中で、ノエリはよく今まで死を選ぶこともしないで、ここまで頑張って来れたと、自分でも驚いていた。