グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

「王妃様。ノエリは、異世界の人なんです」

 黙っているノエリの代わりにジックニーが答えた。

「まぁ、本当? 」

 ノエリはこくりと頷いた。

「はい。私は、妖精界からきました。もう、20年以上も前になりますが」

「そんなに前に? じゃあ、私と変わらないわね」

「え? 」

「私も、天空界から人間界に来たの。と言っても、まだ10年そこそこだけどね」

「天空界ですか? 」

「そう、天使が住んでいる世界よ」

「天使・・・」

 
 天空界・・そして地底・・・

 平凡そうに見えるグリーンピアトが、実は地底と天空と繋がっているとは。

 誰も想像しないだろう。

「王妃様。お聞きしてもよろしいでしょうか? 」

「え? どうしたの? ノエリさん」

「いえ・・・。王妃様は、何故、天空界から人間界に来られたのですか? 」

 尋ねられると、ユーリスは少し恥ずかしそうに目を伏せた。

「私。人間に恋をしてしまったの」

「え? 」

「水晶で人間界を見ていて、見た瞬間に胸がキュンとして。どうしても、その人に会いたくなって掟を破って人間界に来てしまったの」

「掟を破ってという事は、もう二度と帰れないって事ですか? 」

「その時はそう思って、覚悟して来たの。でも、自分に正直になったら父も母も許してくれてね。今では自由に行き来できるようになったの」

「天空界と人間界が自由に? すごいですね」

「限られた人だけしかいけないけどね」
< 69 / 88 >

この作品をシェア

pagetop