グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)
 
 レストランで食事を終えると、外はすっかり夜になっていた。


「今日は、本当に有難うございました。・・・私は、これで帰ります・・・」

 とても丁寧に頭を下げるノエリ。


「帰るって、どこに帰るの? 」

「どこにって、自分の家に帰ります」

「どうして? 」

「どうしてって・・・」

「俺達はもう夫婦だよ。だから今日から一緒に住むよ」

「え? 」


 あ・・・

 ここで夢は覚める・・・

 現実に引き戻される・・・。

 多分、それがお決まりのパターンだ。

 ノエリがそう思ったとき。

 ふわりと暖かいジックニーの腕が、ノエリを包みこんだ。


「ずっと一緒にいる。だから、入籍したんじゃないか。どうして離れるの? 」

 
 なに? これ。

 どうして私なんか抱きしめているの? 

 ノエリはジックニーの腕の中で、困惑していた。


 通り行く人は、ジロジロ見ていた。

「やだぁ、あんなブサイクな人抱きしめている」

「あれだな、しょうがないから慰めているんじゃねぇ? 」

「わぁーキモイあの人」

「あんな顔じゃ、誰も相手にしてくれないよな~」


 見てゆく人はノエリを中傷してゆく・・・。

 
 ノエリは辛くなり、ジックニーから離れようとしたが、強く抱きしめられていて離れることができなかった。

「離れなくていいよ。・・・大丈夫だよ、もう1人じゃないから。俺も一緒に、貴女の辛さを受け止めるから。だから、ずっと一緒にいて」


 何これ。
 
 夢にしては全く覚めない。

 どこまで夢を見せてくれるの?

 ノエリはそう思う中、スッと心が軽くなってゆくのを感じた。

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