さようなら、また夜に
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「なんか、久しぶり。」
「だから、1日ぶりだって。」
お決まりのツッコミが、懐かしい。
また、この世界に戻ってきたしまった。
あんな感動の別れだったのに、
なんか冷める。
でも、懐かしさに安心する。
「今日は本当にごめん。
現実世界の僕に言ってやりたいよ。
簡単に自分の身の上話をするな、ってね。」
「私だって言ってやりたいよ。
簡単に男の子の誘いに乗るな、ってね。」
この世界に現実世界の記憶を持ち込めても、
ここは所詮、夢の世界。
ここの記憶は、現実世界の私達にはない。
「まあ、でも。あんな相談されたんだから
私には解決する義務があると思う。」
「そんな、気負わなくても。
しかもさ、ここで解決しても意味ないよ。
現実世界には持ち帰れないんだからね。」
「たしかに。」
私たちは、大切なことを忘れてここに来た。
なのに、ここに来る前より、
いつの間にか大切なものが増えていた。
所詮、夢の世界。
でもそんなの、関係ない。
彼が私の大切な人になっていることは、
変わりない。