さようなら、また夜に
第1章
とりあえず、光のある方に進む。
「ねぇ、この世界のことで
知っていることはある?」
「少しだけね。この紙を見て。」
【 1、現実世界に記憶を
持ち帰ることは出来ない。
2、ただし、現実世界の記憶を
持ち込むことは認める。
3、探し物を見つけたものには、
褒美を与える。
キーワード___ノクターン 】
「これは、どこで?」
「落ちてたんだよ、そこら辺に。」
「そんなことある?」
「まあ、とにかく。
君は現実世界の記憶を持ち込んだ?」
「そんな、持ち込み方知らないよ」
「じゃあ、ノクターンは知ってる?」
「...夜想曲。」
「そう、僕もそう思う。
ノクターンを知っているのが、
僕らの共通点だ。」
ノクターン。
当たり前のように書かれたこの言葉は、
夜想曲の意味。
有名なもので言うとショパンの曲。
「つまりこの世界は、
【音楽】の世界なんだよ。」
現実世界の記憶が、降りてきた。
私の探し物が、わかった気がする。
私は今、音楽を楽しめなくなって
しまっているのだ。
「僕と一緒に探そう。
その、探し物。」
彼も、何かを探しているのかも知れない。
そのまま一日中、歩き回った。
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