独占欲強めの部長に溺愛されてます
地獄から一転、夢見心地
翌日、出勤した野々花は愕然とさせられた。
デスクに貼られた、一枚の付箋。それは小さいくせに強大な破壊力をもっていた。
【間宮さん、体調不良で休むそうです】と書かれていたのだ。
(嘘でしょ……。昨日、仕事を放り出して帰るなんて無責任な所業をした挙句、翌日休むなんて……!)
昨夜、用事があってやむなく帰ったのは、百歩譲るとしよう。それがたとえ友達との約束だとしても、この際いいだろう。
でも、翌日はそのフォローがあってもいいのではないか。尻ぬぐいをした野々花に謝罪なり感謝なり、なにかしらのアクションがあるのが普通ではないのか。
例えば、〝これ、ほんの気持ちです。昨日はすみませんでした〟との言葉に、小さなチョコレートでも付けてもらえば、野々花だって〝いいのよ。次はがんばろうね〟と寛大な心で許そうと思える。
それがこれ。この仕打ち。三ヶ月間フォローし続けた先輩に後ろ足で砂どころか、水をたっぷり含んだ泥をかける行為だ。
(もうダメ。こんな気持ちのままじゃ仕事にならないよ)
昨日は昨日。今日はまた清々しいスタートを切るはずだった仕事に、真摯な気持ちで向き合えない。