独占欲強めの部長に溺愛されてます
顔を覗き込まれ、思わずのけ反る。
そんなに近くに端正な顔立ちを近づけないでほしい。
なんでもありませんと答えたかったが、言葉に詰まり首をぶんぶん横に振る。
「まずはビールにしておこうか」
今度は縦に首をこくこくとすると、そんな野々花をクスッと笑ってから、加賀美は注文を済ませた。
(あぁ、私はどうして加賀美部長とこんなところにいるんだろう……)
夢のような取り合わせが、野々花を緊張させる。やきとり屋という大衆的な場所でもそうなのだから、これがもしも高級レストランや料亭だったら命の危険にさらされていた気がしてならない。
それでなくても昨日今日と何度となく〝被弾〟しているのだ。心臓はかなり弱ってる。
野々花がそうして心許ない状況に陥っているうちに、加賀美はやきとりの注文も次々としていく。慣れた様子から、よく出入りしている店なのはうかがえた。
「へい、お待ち!」