独占欲強めの部長に溺愛されてます

褒められるのも想定外だ。真面目にコツコツと地道にやってはきたが、加賀美が野々花をそんなふうに評価してくれていたとは。

(感激しすぎて涙が出そう……)

思わず感極まりそうになる。


「俺も上司として失格だよな。忙しさにかまけて部下の動向に気を配れなかった」
「本当にそんな。気にしないでください」


上司に、それも加賀美にそこまで心配させたくない。部下なのだから、上司が仕事をしやすくするのは当然。教育係を任命されたのだから、責任をもってやり遂げたい。

そう思う反面、加賀美はちゃんと見ていてくれていたのかと、胸の奥が震える。いつも忙しくしている加賀美だから、野々花の仕事ぶりは目に入る余裕がないだろうと思っていたのだ。


「教育係もなかなか大変だろう」
「私の指導の仕方がいけない部分もあると思いますので……」


それは正直な気持ちだった。
瑠璃のやる気のなさは目に見えてひどいが、野々花のやり方や教え方に悪い側面がないとは言い切れない。
いい子ぶるつもりはないが、瑠璃ひとりのせいにするのは、さすがに気が引けた。

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