独占欲強めの部長に溺愛されてます
「失敗したときの責任は俺が負うから心配するな」
なんて頼もしい上司なのだろうか。そこまで言ってくれているのだ。部下としてやらなくてどうする。
「わかりました」
野々花が強く頷く。ついでに鼻息も少々荒くなった。
リアクションが少しオーバー過ぎたか。加賀美はまたまたクスッと鼻を鳴らして目を細めた。
「じゃ、その前にまずは腹ごしらえだな」
「はいっ」
目の前にずらっと並んだやきとりの串。野々花はその中の一本を手に取り、「いただきます」とかぶりつく。
「いい食べっぷりだな」
ついいつもの調子で大口を開いたと気づいたが、時すでに遅し。今さら上品ぶっておちょぼ口にもできず、潔くやきとりを串から引き抜いた。
(もしかして、エリートの人たちはやきとりにかぶりついたりしないの? 串からひとつひとつ引き抜いて箸で食べるとか?)