独占欲強めの部長に溺愛されてます
嬉しい代償
「おはようございます」
翌日、元気よく出勤した野々花は、一も二もなく松村のもとへ足を進めた。瑠璃はまだ出勤してきていないようだ。
「松村くん、昨日はありがとう。間宮さんを押しつける形になってごめんね」
深く頭を下げると、松村は「そんなのいいですってば。そのかわりデートですからね」と軽く笑い飛ばしてくれた。
「はいはい。これ、ほんの気持ち」
そう言いながら、松村に手のひらサイズの小さな箱を手渡す。出勤途中に寄ったコンビニで買ったクッキーだ。
「あ、俺の大好きなやつじゃないですか。いいんですか?」
松村は嬉しそうに顔を綻ばせる。
いつも好んでそれをつまんでいるのを野々花は向かいのデスクから見ていたのだ。
「もちろん。本当にありがとう」