希望の夢路
「ここ、どこ?」
「心愛」
「博人さんっ?」
「俺だよ」
「なんだ、智也かあ」
「…おい」
なんだよ、その言い方は。
いくらなんでも酷いじゃないか。
ずっと眠っていたから、心配したのに。
「ここは俺んち。心愛が急に倒れるから、ここに運んだ」
「あっ、ごめん、智也」
「別にいいよ。最近ちゃんと食べてるか?」
「うん、食べてる」
「そうか?にしては痩せてるけど」
「気のせいじゃない?」
「そうかな」
そんなことない。明らかに心愛は、ショックを受けている。食事はできてるかどうかはわからないが、とりあえず食事は取れてるのかな。でも、あまり食べられてなさそうだな。
「あ、これ…ありがとう」
心愛は、額に貼っていた熱さまシートを取った。
「まだ寝てろよ」
「もう大丈夫。ありがとう、智也」
にこっと笑う心愛は、天使だ。

俺を惑わせ狂わせ、欲情させるイケナイ天使だ。イケナイ太陽ならぬイケナイ天使。

「わかった。もうちょっとだけ…寝るね」
「ああ」
そう言って、心愛はすぐに眠ってしまった。もうちょっとだけと言っていたが、疲れていたのか心愛は、翌朝まで全く目を覚まさなかった。
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