希望の夢路
「…何でもねえって」
「ねえ、智也は博人さんのことが嫌い?」
「嫌いじゃねえよ」
「嘘。嫌いなんでしょ」
「嫌いじゃねえよ」
「嘘!」
「…ったく、うるせえな」
「う、うるさいって…」
彼女は俯いた。
「おい、心愛ちゃんにそんな言い方はないだろ」
僕は智也を睨んだ。
「よく言うよ。俺を何度もぶん殴った奴が」
「…え?」
とうとう、彼女にバレてしまった。
僕がこいつを、何度も殴ったということに。
「どういう、こと?」
「こいつが、俺を殴った。何度もな」
智也は僕を見て直ぐに目を逸らした。
「えっ、嘘。そんなの…」
彼女は僕をじっと見た。
「…殴ったよ。殴った」
「どうして!?どうしてですか?」
「許せなかったから。大切な心愛ちゃんを振り回して傷つけたから」
「博人さん…」
彼女は目を伏せた。
「嬉しいです」
でも、と彼女は僕の目を見て言った。
「だめですよ、殴っちゃ」
「……そうだな」
こいつに頭を下げるのは気が引けるが、殴ったことは事実だし謝らなければならない。
「智也、悪かった」
僕は頭を深く下げた。
「やめろよ…俺は大丈夫だからやめろ」
智也は僕の目の前に歩み寄って手を差し出してきた。
「ん、世間では仲直りというやつかな?」
智也は目を逸らし僕の目の前に手をぐっと伸ばした。
「そう、かもな」
僕は智也を見た。
「心愛を幸せにしなかったら、俺が容赦なく奪うからな。覚えとけ」
智也は小声で、僕に聞こえるようにして言った。
「ふっ、そんなことはさせない。心愛ちゃんは必ず幸せにする。お前になんか渡さない」
僕と智也は、火花を散らした。
「博人さん?」
智也より五歩ほど後ろにいた彼女が、
心配そうに僕と智也を見ていた。
「なんでもないよ。心愛ちゃん、おいで」
「はい…!あ、えと…」
彼女は僕の方にゆっくりと近づいてくる。彼女は最近まで左目は見えていたから、ついその感覚で歩くのだが片目が見えないとあって、やはり不安そうだ。普通に歩けているのだが、注意深く歩いている。
彼女は、両手を前に伸ばして僕の方へゆっくりと近づいてくる。
僕も、彼女の方へゆっくりと歩いていく。前に伸ばした彼女の両手が、僕の両手と絡み合う。
「ふふ」
彼女は、僕の手と触れ合った瞬間に
にこにこの笑顔を僕に向けた。
「博人さん…大好き」
「僕もだよ、心愛ちゃん」
僕と彼女は、お互いに絡めあった手を離さない。手を絡めたまま互いに見つめあっていると、保乃果が呆れたように言った。
「あらら、いちゃいちゃしちゃって。リア充ね」
「あ、ほのちゃん…ごめん、私…」
「いいのよ、もう離れるんじゃないわよ!」
そう言って保乃果は、彼女の背中をびしっと叩いた。
「んう、痛い…」
「大丈夫?…保乃果、お前…」
「ごめん!痛かった?」
保乃果が彼女の背中を擦る前に、僕は彼女の背中を撫でた。
「ううん、大丈夫」
彼女はにっこりと笑った。
「ねえ、智也は博人さんのことが嫌い?」
「嫌いじゃねえよ」
「嘘。嫌いなんでしょ」
「嫌いじゃねえよ」
「嘘!」
「…ったく、うるせえな」
「う、うるさいって…」
彼女は俯いた。
「おい、心愛ちゃんにそんな言い方はないだろ」
僕は智也を睨んだ。
「よく言うよ。俺を何度もぶん殴った奴が」
「…え?」
とうとう、彼女にバレてしまった。
僕がこいつを、何度も殴ったということに。
「どういう、こと?」
「こいつが、俺を殴った。何度もな」
智也は僕を見て直ぐに目を逸らした。
「えっ、嘘。そんなの…」
彼女は僕をじっと見た。
「…殴ったよ。殴った」
「どうして!?どうしてですか?」
「許せなかったから。大切な心愛ちゃんを振り回して傷つけたから」
「博人さん…」
彼女は目を伏せた。
「嬉しいです」
でも、と彼女は僕の目を見て言った。
「だめですよ、殴っちゃ」
「……そうだな」
こいつに頭を下げるのは気が引けるが、殴ったことは事実だし謝らなければならない。
「智也、悪かった」
僕は頭を深く下げた。
「やめろよ…俺は大丈夫だからやめろ」
智也は僕の目の前に歩み寄って手を差し出してきた。
「ん、世間では仲直りというやつかな?」
智也は目を逸らし僕の目の前に手をぐっと伸ばした。
「そう、かもな」
僕は智也を見た。
「心愛を幸せにしなかったら、俺が容赦なく奪うからな。覚えとけ」
智也は小声で、僕に聞こえるようにして言った。
「ふっ、そんなことはさせない。心愛ちゃんは必ず幸せにする。お前になんか渡さない」
僕と智也は、火花を散らした。
「博人さん?」
智也より五歩ほど後ろにいた彼女が、
心配そうに僕と智也を見ていた。
「なんでもないよ。心愛ちゃん、おいで」
「はい…!あ、えと…」
彼女は僕の方にゆっくりと近づいてくる。彼女は最近まで左目は見えていたから、ついその感覚で歩くのだが片目が見えないとあって、やはり不安そうだ。普通に歩けているのだが、注意深く歩いている。
彼女は、両手を前に伸ばして僕の方へゆっくりと近づいてくる。
僕も、彼女の方へゆっくりと歩いていく。前に伸ばした彼女の両手が、僕の両手と絡み合う。
「ふふ」
彼女は、僕の手と触れ合った瞬間に
にこにこの笑顔を僕に向けた。
「博人さん…大好き」
「僕もだよ、心愛ちゃん」
僕と彼女は、お互いに絡めあった手を離さない。手を絡めたまま互いに見つめあっていると、保乃果が呆れたように言った。
「あらら、いちゃいちゃしちゃって。リア充ね」
「あ、ほのちゃん…ごめん、私…」
「いいのよ、もう離れるんじゃないわよ!」
そう言って保乃果は、彼女の背中をびしっと叩いた。
「んう、痛い…」
「大丈夫?…保乃果、お前…」
「ごめん!痛かった?」
保乃果が彼女の背中を擦る前に、僕は彼女の背中を撫でた。
「ううん、大丈夫」
彼女はにっこりと笑った。